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ニューズレター第5号(November 10, 1996)
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’96ペルージャ会議 IAML Annual Conference in Perugia
秋岡 陽
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This is the first of a series of
reports about IAML annual conference in
ペルージャ会議報告の第一弾をおとどけします。今回は、事務的な決定事項を中心に、事務局長がレポートします。次号では、第二弾として、筒井敬子さんのレポートを掲載する予定です。(編集部)
■IAMLでは、毎年1度、世界各地に会場を移して、国際会議が開催される。今年はイタリアのペルージャで、9月1日から6日まで会議が行われた。
ペルージャは、ウンブリア平原にある、小高い丘の上の街。丘の上に、中世以来の佇まいの城塞都市が、古株のように根を張っている。会議の会場も、昔の古い建物を使用。IAMLイタリア支部の用意した盛りだくさんのプログラムのおかげで、充実した会議になった。
今年、IAML日本支部から参加した会員は、以下のとおり:秋岡陽、井上公子、上法茂、関根敏子、竹内道敬、筒井敬子、鶴園紫磯子、藤堂雍子(敬称略、五十音順)。
さらに会員以外の同伴者の参加も少なからずあり、にぎやかな顔ぶれとなった。
■竹内道敬氏、鶴園紫磯子氏が発表
今回、日本支部からは2人の会員が発表をおこなった。
まず9月2日の午前中に、桐朋学園大学の鶴園紫磯子氏が、「Music and paintings」と題して発表。さらに、同日の午後には、国立音楽大学の竹内道敬氏が「Organization
and Classification of Documentary materials for the 18th and 19th Century
Japanese Music」と題したペーパーを発表した。いずれの発表も、会場に熱心な聴衆を多数集め、好評をもって迎えられた。
■インターネット関連の発表が盛ん
今年の会議の特徴は、インターネットをはじめとする、最新のテクノロジーの利用に関する発表が活発におこなわれた。2年前、カナダの会議で、「インターネットを利用した貴重資料の公開」について南カリフォルニア大学の研究グループが発表したときは、批判的にせせら笑う人が多かったが、いまや状況は一変している。発表テーマに「WWW」と、3つのWが並んだとたんに、その会場は満員御礼となり、立錐の余地もない。今年、ニューヨークのRILMも、「WWWを使った自己申告登録システム」のデモンストレーションを行なった。これなどは、もしも実用化されるとなると、各国の委員会の存在の意味そのものが問われることになるだけに、会場に大きな波紋を投げかけた。
■藤堂雍子氏、Vice Chair に選出される
今年は、各分科会ごとに、それぞれ役職者の改選がおこなわれた。
音楽教育機関の図書館の分科会であるLibrary in Music Teaching Institutions Branchでも、今回Chair 以下役職者の改選がおこなわれたが、投票の結果、日本支部の藤堂雍子氏(桐朋学園大学図書館)が、Vice
Chair に選出された。
本部の役職者に日本支部の会員が選挙されたのは今回がはじめてではないだろうか。日本支部会員の積極的な参画に、各国支部から大きな期待が寄せられている。
■来年の会議予定
来年の会議予定が以下のように発表された:
時期:1997年8月31日〜9月5日
場所:ジュネーヴ(スイス)
■その後の会議予定
1998年以降の会議の開催予定地については、つぎのような予定が発表された:
1998年=スペイン(サン・セバスチャン?、7月?)
1999年=ニュージーランド(7月?)
2000年=エディンバラ(8月)
2001年=フランス
2002年=サンフランシスコ(あるいはアメリカ西海岸のいずれかの都市)
2003年=エストニア
2004年=ノルウェー(?)。
■IAMLのホームページ開設
IAML国際本部で新しくホームページを開設したことが、今回の会議期間中に報告された。同ホームページには、IAMLの設立の主旨、活動の実際、規約、役員名簿のほか、さまざまな情報が満載されている。
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来年のMusic Teaching Institutions Branch 藤堂雍子
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1997年ジュネーヴ年次会議で予定されている音楽教育機関図書館部会のテーマは「図書館とコミュニティ」。これは新しく座長に選ばれたパルマ音楽院図書館のフェデリカ・リヴァの提案を受け、書記役のジュリアード音楽学校ジェーン・ゴットリーブと副座長藤堂雍子が、ペルージャで最初のミーティングで打ち合わせた最新情報です。
音楽学校は、世界的にどこも見直しを迫られていて、カリキュラムや経営のシステムが大きく変わろうとしています。その中にあって、図書館も例外ではなく、特に資料や情報の提供、メディアの活用を通して、地域の音楽文化に貢献する力となっている、あるいは、構想されているなどのレポートが発表される予定。
開催地であるジュネーヴ音楽院、ロシアのセント・ペテルス音楽院などが発表の名乗りを挙げている。
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音楽文献目録委員会だより 関 根 敏 子(同委員会事務局長)
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■新委員長と新委員
1996年度は委員の改選期にあたり、4月から委員の構成に大きな変動がありました。
まず委員長は、福島和夫氏が退任された後、樋口隆一氏が選任されました。福島氏は16年という長期にわたって委員および委員長をつとめられたばかりでなく、当委員会独自の日本音楽分類法の採用、目録第1−20集の復刻版と索引の出版(*)、さらには目録の自主販売の決定などによって、当委員会を大きく発展させてくださいました。新委員長の樋口氏は、バッハ研究家として国際的に活躍されており、当委員会にさらなる発展をもたらしてくださることが期待されます。
委員に関しては、昨年11月に姫野翠氏の突然の訃報がありました。今年の4月からは委員の顔ぶれも大きく変化し、新しく8名の委員が加わるとともに、監査として金澤正剛と福島和夫の両氏が選任されました。新委員と選出団体は以下の通りです。
委員長:樋口隆一
委 員:日本音楽学会:久保田慶一、佐野光司、樋口隆一
東洋音楽学会:新井弘順、加納マリ、草野妙子
日本音楽教育学会:大畑祥子、茂木一衛、八木正一
音楽図書館協議会:伊東辰彦、竹内道敬、塚原康子
国際音楽資料情報協会:荒川恒子、寺本まり子、長谷川由美子
監 査:福島和夫、金澤正剛
事務局長:関根敏子
(*)『音楽文献目録1−20』(復刻版、合本全4冊)発売:第一書房 定価80.000円(税別)
『音楽文献目録索引1-20』発売:音楽文献目録委員会 定価 8.000円(税込)
■『音楽文献目録24』の刊行
音楽文献目録委員会から10月に発行された『音楽文献目録24』(1996)には、最近1年間に公表された音楽関係の単行本や雑誌そして多数の論文が、全部で1,100項目含まれています。したがって目録の収録文献数は、第1号(1973)の475点に比べれば3倍近く増えたことになります。目録には、西洋音楽、日本音楽、音楽教育、民俗音楽、ポピュラー音楽などのジャンルに加えて、音楽に関係する文学、歴史学、教育学、宗教学、社会学など幅広い分野にわたる文献が収められていますが、今年の新しい様相としては、女性関係の資料が増えました。(目録は年1回発行、定期購読料3,000円、問合せ先:音楽文献目録委員会、03-3991-3018)
■その他の報告
1996年5月に、第20集までの索引巻の完成を祝う会が、これまでに委員をつとめられた方々も交えて盛会のうちに催されました。また同月末にはベルリン国立音楽研究所(SIM)からRILMドイツ支部の責任者でもあるヨアニス・ザノス氏が来日し、ドイツの音楽文献目録編集におけるリレーショナル・データベースの構築法についての講演がありました。9月には、イタリアのペルージャで開催された大会に、事務局長(関根敏子)と事務局から松島夕佳子が参加しました。今年の会議では、ニューヨーク本部の編集長アダム・オコーナー氏の死去という悲しいニュースがあったものの、上記のザノス氏やニューヨーク本部でのデータベース作成法の紹介、電子メールによる文献データの送付法に関する説明などがあり、国際交流の新しい歩みが感じられました。
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例会のお知らせ
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■IAML日本支部例会
以下の要領で、IAML日本支部の例会を開催いたします:
内容:1.東京大学附属図書館における電子図書館化
〜貴重書の電子化とインターネットによるその利用〜
講師:加藤信哉氏(東京大学附属図書館システム管理掛長)
2.音楽関連WWWホーム・ページ探索
日時:1996年12月14日(土曜日)16:00-18:00
場所:ビジネス・ソリューション
(井の頭線「駒場東大前」徒歩8分)
担当:藤堂雍子
会費:会員500円(会場代+飲み物代)
非会員1,000円(会場代+飲み物代)
*当日は、加藤信哉氏の報告ののち、音楽関係のホームページのネットサーフィン体験を計画しています。
*例会後、会場近くで懇親忘年会(会費制)をします。忘年会に出席可能なかたは、12月7日までに例会担当(藤堂)までご連絡ください。
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共催企画のお知らせ
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■音楽図書館協議会1996年度研修会(IAML共催)
内容:図書館資料の保存対策をめぐる最新動向
日時:1996年12月19日(木曜日)10:30-17:00
場所:江戸東京博物館
*この催し物に関しては、音楽図書館協議会から詳しい案内が送られます。問い合わせ、ならびに参加申し込みは、音楽図書館協議会の研修委員会(〒190 立川市柏町5−5−1 国立音楽大学附属図書館内、電話0425-35-7714)までお願いいたします。
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会計報告TREASURER'S REPORT
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■団体会費が値上げされました
先般6月15日の日本支部総会で、団体会費の値上げが可決されました。値上げは、本部の団体会費値上げに沿ったものです。デンマーク大会(1995年)で、1997年度よりほぼ11%の値上げが、決まったのを受けて、日本支部での対応について役員会で検討を重ねてきましたが、本部値上げ率に最も近い原案13,500円を、総会の席でご審議いただいた結果、以下の理由で14,000円と決定いたしました。
1) 運営必要経費、すなわち日本支部経常経費に、例会費用などの活動経費を勘案したい。
2) 換算レートが円安傾向にある。
3) 端数整理
総会会計報告でもご覧いただけますように、通信費を始めとした経常経費の上昇が見られ、これは支部活動が、ようやく健全な歩みを始めた結果であるとのご理解もいただきました。傍ら、活動基金として15,000円案等も強く出されましたが、総会の場で、その内容を十分に検討するには至らず、今後の活動への礎として上記の通り若干の上乗せをお認めいただいたことをご報告します。なお、本部の値上げに至る経緯は機関誌『Fontes』
vol.42-3 掲載の会計報告および、大会総会報告をあわせてご参照下さい。
したがいまして、この11-12月にお願いする1997年度会費請求の際には、団体会費に限り、14,000円を申し受けます。よろしくお願い申し上げます。
■会費を集めます
来年度分(1997年1月〜12月分)の会費を集める時期になりました。12月末日までに、振込をお願いします。別途こちらからお送りした郵便振込用紙をご利用下さい。通信欄には「
'97年度会費」とお書き添えください。会費額はつぎのとおりです。
個人会費 6,000円
団体会費 14.000円
*以下の方は、すでに'97年度分の会費を納入済みです。今回お支払いいただく必要はありません:
荒川周、安藤由典、加藤信哉、金澤正剛、福島和夫
*団体会員で、支払いの都合上、銀行振込のみ可能な場合に限り、下記口座をご利用いただけます。口座番号は1995年から変更されていますので、ご注意下さい。
東京三菱銀行飯倉支店 普通預金
口座番号 0118490
IAML日本支部 代表 藤堂雍子
■訂正とお詫び
先日お送りした「会費納入のお願い」のプリント中、IAML日本支部の銀行口座を「東京三菱銀行飯倉支店」とすべきところ、誤って「三菱銀行渋谷支店」となっておりました。お詫びして訂正いたします。
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事 務 局 よ り
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■選挙について
来年(1997年)、IAML日本支部の役員選挙が行われます。年明け早々に「候補者推薦のお願い」を皆様に発送し、候補者推薦を受け付けます。その後、4月ころには「候補者名簿」と「投票用紙」を発送し、郵送による投票をお願いすることになります。よろしくお願いいたします。
■選挙委員が決まりました
1997年に行われるIAML日本支部の役員選挙にさいし、次の各氏が、選挙委員および選挙委員長をつとめてくださることになりました。
選挙委員長(1名):遠山一行氏
選挙委員(2名) :寺本まり子氏、林淑姫氏
■本部名簿がもうすぐ届きます
現在、本部では、世界中の会員の住所・氏名を掲載した名簿を印刷・発送中です。今回の改訂では、新しく、電話番号、ファックス番号、E-mail アドレスが追加掲載されます(ただし5月のアンケートで掲載を許可した方のみ)。本部としては、12月中には、完成された名簿を発送する予定とのことです。しばらくお待ちください。
■事務局への連絡は郵便かFAXで
IAMLは、日本近代音楽館のご好意により、同館に事務局の住所をおかせていただいています。しかし、今年度は、日本近代音楽館の職員のなかに、IAMLの事務局スタッフがおりません。館員の方のご好意で、郵便物等を転送していただいているのが現状です。したがって、事務局への連絡は、電話を避け、書面にてお送りいただけますようお願いいたします。なお、緊急の場合に限り、事務局長の自宅でも連絡をお受けいたします。
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会 員 異
動
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・新会員
荒川 周、佐藤みどり
・ 所属変更
戸倉信昭
住所の変更などありましたら、日本支部の事務局まで、ご連絡ください。本部からの郵便物の宛名に誤植がある場合なども、日本支部の事務局あてご一報ください。日本支部事務局が窓口となって、本部へ連絡します。
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PUBLICATIONS RECEIVED
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* AEDOM: Boletin de la Asociacion Espanola de Documentation Musical. Ano
3, No.1, enero-junio 1996(IAMLスペイン支部より)
(以上)