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ニューズレター第7号(April 12, 1997)

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IAML Japanese Branch had its study-meeting on December 14, 1996: the topics of the day were on "Internet resources." This Newsletter is the second issue which features reports by the IAML members on this hot and cool topics.(編集部)

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スマートなネット・サーフィンをめざして:Internet Fieldwork のために

福本康之

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◆はじめに
 Internet とは何か? もはや、その手の説明は不要であろう。では、「我々(この Newsletter を読まれる立場の方々)」にとって Internet とは何であるのか?(注1) 「何もわざわざ……」と思われるかもしれないが、まず、この問いに対しての私個人の経験に基づく帰納的回答を明示し、Internetとコンピュータに対する(再)認識を行うことから本稿を始めさせていただく。

◆「我々」にとってのInternet とは何か?
 「Internet の一つも使えないようでは……」という台詞は、一昔前であれば「コンピュータの一つも……」といったところであった。しかし、単に「Internet」という単語が「コンピュータ」に取って代わっただけではない。「ポスト・コンピュータとしての Internet」ではないのである。では、コンピュータと Internet の関係は如何なるものか?この点を、Internet の普及が引き起こした「道具としてのコンピュータ」に対するパラダイム・シフトの側面から見ることで、Internet が備えている「我々」にとっての有意義性が明らかにされうる。
 今一度、「我々」のコンピュータの利用形態を振り返ってみよう。Internet が普及するまで(正確には Internet に接続するまで)、コンピュータの主たる役割は「情報を処理する道具」であった。時には入力したデータに統計処理を施す道具として、またある時には論文の執筆を行うための道具として、様々な場面でコンピュータが情報の処理を助けてくれたはずである。しかし、その元となるデータを集める段階において、コンピュータはただデータが入力されるのを待つばかりであった。ところが、コンピュータが Internet に接続されることで、状況は一変した。コンピュータは、Internet と接続されることにより、我々と電子情報空間との媒介物としての可能性を備えるようになったのである。言い換えれば、コンピュータはここに「情報を収集する道具」となったのである。我々は、情報を電子化された状態で従来とは異なる空間から得るところとなったのである。そして、その情報とは従来の空間(=我々主体の存在する現実世界)から提供されたものであり、従来の情報と「質」においては同一の存在なのである。
 我々にとってのInternet とは、「情報収集手段としてのコンピュータ」を介し、「従来と等質の情報」を「電子化された状態」で得られる「電子情報空間」である。(注2)
 以上のことは、改めて述べるほどのことではないと思われるであろう。しかし、私的体験において、Internet と聞いて抵抗を示す方や Internet 上でネット・サーフィンならぬネット・ドリフト状態に陥る方の多くは、この手の認識が欠けているように思われる。以上(再)認識を踏まえた上で、次に我々にとってのスマートなネット・サーフィンのための手がかりを紹介して行くことにする。

◆Internet 上での情報流通の形態
 まず、サーフィンを行う前に波の様子をうかがうように、情報にたどり着くための環境(=情報流通の形態)を見ておく必要があるだろう。「Internet=WWW (World Wide Web)」。この公式は、Internet に対する一般的認識である。確かに、WWW は Internet の普及の主たる原動力であり、現実の Internet 利用のほとんどが WWW によるものである。当然、我々も WWW を情報収集の手段として重要視せねばならない。しかし、WWW が開発される以前から Internet が長らく学術目的で使用され(注3)、普及して来たことを考えれば、その過程で主たる情報流通の形態であった「メーリング・リスト」や「ニュース・グループ」をも視野に入れるべきである。また、技術の発達によっては、新たな形態も視野に入れることになるであろう。ここでは、紙面の都合上、各形態での情報への到達方法に限定して述べ、各形態そのものの解説は用語集に任せることするので、各自で確認されることをお願いする。

◆情報への到達のために(スマートなネット・サーフィンのために)
 Internet 関連の雑誌において、1996年の後半に「目的の情報をめざして」という特集が組まれることが多かった。ようやく、人々の関心が Internetそのものからその利用法へ移ったかという感じであった。見方を変えれば、これは Internet がインフラとして定着したということである。では、スマートなネット・サーフィンのための「助け」を簡潔に述べさせていただく。
 1.情報の所在は、いずれの形態においてもその URL がわかればよい。これは現実世界でいえば「資料を保管している機関・組織なりの住所がわかればよい」ということである。
 2.その手段となるのが「ディレクトリー」や「サーチ・エンジン」と呼ばれるホームページ (以下HP) である。「電話」に例えれば、前者は「電話帳」、後者は「番号案内サービス」である。
 3.もう一つの手段が「URL 集」なる書籍である。これは「ディレクトリー」をペーパー化しただけのモノである。
 以上が「スマートなネット・サーフィンのために」の全てである。これでは不親切と思われるであろう(いや、実際に不親切である!)。各種の雑誌では、実際にそれらの使い方が「丁寧に」紹介されていた。だが、それらの利用法をここで紹介するのは「電話帳の使い方」を紹介するようなもので無駄と思われる。また、利用方法は各HPに記されている。よって、ここではそのような「個別的な説明」よりも、それらのHPの URL や書籍そのものを紹介した方が有意義であると思われるので、そうさせていただく。
〈一般的なディレクトリーとサーチ・エンジン〉
http://www.yahoo.co.jp/Computers_and_Internet/Internet/Directory_Services/
 ディレクトリーとサーチ・エンジンは一つだけではなく、様々な組織が提供している。ここではそれらをまとめた、メタ・ディレクトリーとして上記URL を紹介しておく。
〈音楽研究家向け音楽関連ディレクトリー〉
http://pobox.com/~jrush/music(Library of Musical Links)
http://www.siba.fi/Kulttuuripalvelut/music.html(Music Resources)
http://capella.dur.ac.uk/doug/music.html(Music Links Page)
 研究者にとって有意義だと思われる(スマートに情報にたどり着けるであろう)ものを3点だけ紹介した。これらを含め、専門分野のディレクトリーもメタ・ディレクトリーから検索できる。
〈音楽関連URL集(書籍)〉
 なかがみのりゆき著『インターネット音楽ホームページ551』ナツメ社、1997年
 他にも数点あるが、情報がもっとも新しいものとして上記のものを挙げておく。
 以上情報源としては非常に限定してあるが、これだけで十分にネット・サーフィンの「助け」となり、逆にそれ以上は、情報の混乱と重複の要因になると考えている。むしろ、スマートなネット・サーフィンのために必要であるのは、各々が状況に合わせ様々なディレクトリーなりサーチ・エンジンを使い分けるための「経験」を積むことではないだろうか?
◆おわりに
 ここまで、私なりの Internet 活用法のようなものを述べた。しかし、そのようにして集めた情報とは Internet にまき散らされた状態のものであり、いわば Internet においてフィールド・ワーク的に情報を集める方法である。そして、この方法が大いに効果を発揮するのは、秋岡氏が前号で述べられているように「新しい情報」「ローカルで特殊な情報」であり、それらの情報に対する吟味が必要であることは同氏の述べられているとおりである。なお、従来の図書館的な Internet の利用に関しては本号の藤堂氏の記事を参考していただく方が有効である。

(注1)「Internet=新しいメディア」との認識が一般的であるが、むしろInternet 自体は新たな(ハード的かつソフト的)インフラストラクチャーと見なし、その上で様々なメディア(WWW、E-mail、I-Phone、I-Radio等)が展開していると見なすべきである。とは言え、メディアの統合体(=マルチメディア)ではない。新たなポリ・メディアの(物理的かつイデア的)展開空間とでもいうべき存在である。従って、Internet とは、そこに参与する主体の在り方により、その性格を多分に変化させる存在である。そのため、ここでは「我々」と断っておいた。
(注2) Internet以前にも「パソコン通信 (BBS)」なるネットワークが数多く存在している。しかし、Internet が全世界的規模で数億人単位の利用者があることに比すれば、BBS は1つのコンピュータをホストとする閉じられた地域的で利用人口が少ないネットワークである。さらに、そのことに起因する情報量の違いをも含め、本稿では BBS を電子情報空間と呼ぶには「未熟」な存在と見なし、Internet こそ我々の要求に耐えうる「本格的」電子情報空間と考える。
(注3) Internet は1960年代にアメリカにおいて軍事目的で開発され、以後研究開発の過程で学術団体を結ぶネットワークとして発達する。WWW の開発とネットワークの非学術的利用解禁は80年代も終わりの頃である。(国立音楽大学大学院音楽学専攻)

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例会のお知らせ

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下記の要領で、IAML日本支部の第19回例会を開催します。ふるってご参加ください。
 日 時:1997年5月31日(土曜)
     IAML日本支部総会の終了後
 場 所:日本近代音楽館 麻布台本館
     (総会と同じ会場です)
 内 容:「新聞記事にみる日本の洋楽[明治篇]:データベース第1期公開」
     について
     お話:林淑姫氏(日本近代音楽館)
日本近代音楽館で進められてきた、新聞記事に関するデータベース構築の作業の成果が、この春から一部公開されることになりました。今回は、同データベースの内容、利用方法などについて、日本近代音楽館の林淑姫氏からお話をうかがいます。
上記例会に関するお問い合わせは:秋岡陽まで。

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音楽図書館の書誌環境:InternetとCD-ROM

Bibliographical Environment in Music Libraries:

Internet and CD-ROM     藤堂雍子

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 World databases in humanities,/ed.by C.J.Arm-strong & R.R.Fenton (Bowker/Saul, c1996) は、Musicの項に52ページを割き、CD-ROM 及びインターネットによって検索可能なデータベース(電子化二次資料、以下DB)を紹介している。もちろん、ポピュラーあり、商業ベースの製品DBありと様々で、数量が多いことが質にそのまま反映しているわけではない。たとえば、インターネットで検索エンジンを MUSIC とかければ、機関のダイレクトリー、催しものガイドなどが多数を占めるホームページの全容を把握したり、見通したりすることが不可能なほどの数量のDBが作られ、あるいは消失し、更新されないまま、あたかも、埃にまみれたショーウィンドーのように陳腐化している可能性もある、というのが今日の状況であろう。しかし、音楽図書館が備えるに足る、あるいは参考図書として必須の「音楽二次資料」の類は、IAML 日本支部12月例会で配布した資料(資料1)に、各大学、機関のホームページを追加し、そこに準備中、あるいは既存の所蔵目録DBを加え、かたわら、CD-ROM でしか見ることのできないDB(資料2)を加えることで、ほぼ主要なものが出揃うと考えられる。
 さて、これらのDBを、音楽図書館が日常業務の道具として、どの程度手元に置いているだろうか? 私の勤務する図書館では、図書館目録や出納業務のコンピューター化を計ることに少なからず費用がかかるため、他の機器や資料費の増大は現段階で望めず、特に CD-ROM は、運用コストとしてのソフトの資料費捻出に限界があるという理由で、とりあえずスタンドアローンでのインターネット接続を考え始めたという段階である。CD-ROM の場合、設置の初期費用という点で、英字DOS/V 環境を持つことが必須で、学内の機械化をDOS/V ベースで始めていない場合、CD-ROMのために1台準備することが「特別なことを」とされることもある。しかし問題は、今どの二次情報が図書館に必要か、という議論が、効率を旗印の機械化の優先順位の中で、二の次になってしまいがちなことである。機械化は、効率化志向であるから、利用統計に数値で現されない二次資料(開架参考図書は、出納の対象ではないので一般的に統計化されない)の利用は、無視さるか、見逃されやすい。研究者、ライブラリアンがつねに二次資料情報の整備を心掛けていることが大事である。
 二次資料DBは、個人で入手しにくく有料なものが多い。CD-ROM のDBソフトは、1万数千円のLCの目録を例外として、年間更新原価で7−13万円前後のものが多い。British Library の出版楽譜目録 (CPM) は、非更新の買取DBであるが、35−36万円する(CPM は媒体としての書籍で所蔵している図書館も少なくないが、書籍が1980年までの出版を収録しているのに加え、ROM では1990年出版まで収録、さらに英国楽譜出版協会による刊行目録も収録されている)。といっても書籍で購入するより安価で、むしろ書籍では入手できなくなっていく傾向にある。ROM に切り替え、利用方法や増加に合わせ、あるいは書架スペースの確保に当てるのが賢明であろう。インターネットと重複するDBもあるが、ROM でしか入手できないものも少なくないことに留意しておこう。
 一方、インターネット経由で入手できるDBは、次の3つに大別してみよう。まず、世界最大の所在目録 DB として外せないのが、OCLC(米国オハイオを拠点とし、参加館は米国に留まらない。音楽資料についても最大の規模と内容を持つ)が提供する World Cat.である。これに加えて、RILM、RISM 等の音楽二次資料 DB の検索には、パスワード取得とサーチ件数に応じた DB 使用代金が必要である。検索にもある程度の習熟が前提となっていると云って良い。
 次に、いわゆるダイレクトリー、ガイドブックに該当するDBで、これらは、クリックするだけで、回線料さえ負担すればあちこちショーウィンドを覗くように、ネットスケープ・サーフィンできる。この種の刊行物を定期的に、購入したり、寄贈されてくるのを、ラヴェルを貼り、目録を作成し、古い版を除籍する手間や、逐次刊行物か否か、カテゴライズに悩むことなく、更新されるホームページを開くだけで済む。これらの多くは画像情報も用意しているから、留学や、夏の旅行や研修を希望する学生にも、身近な情報の入手が可能となるであろう。
 第3に、個別図書館が作成する目録DB。これらは公開していれば(ニューヨークの公共図書館、インディアナ大学音楽学部図書館など)、覗くことはできるが、多くは前述の大学なり音楽部門のダイレクトリーのホームページがあっても、目録はまだ準備中であることが多い。仮に、無料公開していても、簡易データであったり、検索方法も習熟を必要とするコマンド検索、ないしはキーワード検索どまりで、複合検索までは出来ないこと等が多い。
 こうしたことを考えると、二次資料DBは、インターネットを個人が活用する時代であるとはいっても、個人レヴェルでの利用には、限界がある。図書館を始めとした機関がその責を担うべきであることはお判りいただけるであろう。
 実際、図書館で利用者のために調査をしていると、年々手持ちの二次資料では不足を感じる度合いが多くなっている。新しい二次資料は電子化に移行する傾向にあり、電子環境を活用している図書館とのサーヴィスのキャパシティが違ってくることは明らかである。他の図書館に問い合わせるにしても、書誌の基本事項を確認したり、所在を複数問い合わせる手間までを考えるなら、いずれは手元に、これらが一挙に検索可能な電子二次資料情報を整備しておくことが「相互協力」のルールともなろう。自館に何も持たず、すべて他館のサーヴィスに委ねるわけにはいかない。
 さらに、「学生時代にもっと語学をやっておけば良かった」と必ず留学生がつぶやくように、学生時代に情報検索に某かのトレーニングないしは経験があれば、海外でもどこでも自力で勉強できるはずで、音楽資料情報を探究する場を整備しておくことが、高等専門教育機関の条件となっていくであろう。
 いわゆる研究者に留まらず、音楽資料の「地図」ともいえる「二次資料」を介在すれば、音楽探究という世界をさらに有効に旅することができるはずだ。同時に、日本固有の資料をDB化し、整備することも忘れてはならない。このことについては、別の機会にふれたい。

資料1:インターネット・ホームページ情報を、1996年12月14日のIAML日本支部例会で配布。ご希望の方は、筆者(藤堂)までお申し出下さい。内容は、以下のHPアドレスとタイトル画面のハードコピー集です
 1) 図書館・機関・ネットワークHP
 2) 作曲者別DB
 3) 書誌DB
資料2:CD-ROM 音楽二次情報DB
 1) LC Music Catalog 198?+;220,000件
 2) Deutsche National Bibliothek (DNB )1976+;325,000件*
 3) Catalog of printed music 1880-1990 (CPM) ;650,000件
 4) MUSE (RILM abstracts 1970+ +LC Music Catalog) ;230,000+件
 5) Music Index 1979+;200,000件
 6) RISM 1600-1800;200,000件
 7) VLM/German music in print 1995+;150,000件*
 8) MPA/Catalogue of printed music UK 1995+
  (ROM 媒体のみの DB には末尾に * を附記)

                                    (桐朋学園大学図書館)

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公共図書館と専門情報についての雑感    戸倉信昭

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 場違いなのは承知しつつ、筆を執らせていただくことをお許しください。昨春、『図書館雑誌』の告知欄にIAML日本支部の会員募集の記事が載り、入会しました。大阪大学の音楽学を出て、昨年4月から大阪市立図書館(1中央館・23分館・自動車文庫)に勤務しています。専門職採用ですので、辞めないかぎり(?)図書館で働きます。現在の勤務先は、区にひとつずつある分館の「大阪市立福島図書館」で、司書は館長以下4名、蔵書は約6万冊、エリア人口は6万人程度という小さな図書館です。
 公共図書館の業務は、うちのように人数の少ない職場の場合ほんとうに多岐にわたります。カウンターでの貸出返却、レファレンス、こどもへの絵本の読み聞かせやストーリーテリング、学校の社会見学への対応、郷土資料展示や講演会のプランニングなど、挙げはじめればきりがありません。うちは、収集整理は、選定作業は各館で行いますが、装備・受け入れは中央館で集中しておこなっていますので、MARC 作成や典拠管理などはそれ専門の職員が配置されています。
 まちの公共図書館で音楽情報というと、楽譜と、CD やヴィデオなどの AV 資料が中心となります。楽譜は、当館の場合は 760 の下に図書として配架しています。分館ではポピュラー中心にバンド譜、ギター譜、ピアノ譜などが多く、中央館にはほかにミニチュアスコアなどもおいています。図書の相互貸借のシステムが完備しているので、所蔵資料はどの市立図書館からでも入手できるようになっています。CD は、中央図書館と天王寺図書館のみ、ヴィデオは全館に所蔵しています。音楽ヴィデオもあって、オペラや、ビートルズなどがわりあいよく出ています。昨年オープンした新しい中央図書館では、CD の試聴スペースがにぎわい、また、楽譜へのニーズも高まってきています。昨年7月の開館以来、中央図書館全体では一日平均7,000冊を超す貸出を記録していて、大変な繁忙ぶりとなっています(ちなみに中央図書館の蔵書は85万冊、開架は30万冊です)。どこの町でも、最近はいい図書館ができはじめています。みなさんもぜひ、休日に近くの公共図書館へ足を運んで、雰囲気を感じてみてください。
 公共図書館が、学生や好事家の場から、広く市民に開かれたスペースになってきたというのはもはや否定しがたい事実です。そのような中で、利用者からの要求はますます多岐にわたり、専門化しています。資料の形態も、本だけ置いていてよかった時代はとっくに終わりました。ひとつの図書館ですべてのニーズを満たせることはもはや無理で、今後、図書館間の連携が重要な課題になってくると思います。また、図書館界全体で解決すべき問題も多いでしょう。典拠や目録の問題はとくに、業界全体で取り組むことで、統一性と作業の分担化がはかれるはずです。
 大学図書館や専門図書館をもっぱら研究の足がかりとしてきた研究者にとっては、公共図書館の所蔵資料も見逃せないものとなってきているといえるでしょう。原典版やファクシミリ版は公共図書館にはありませんが、地域資料はその土地の図書館の仕事です。民族音楽学が受容や消化を話題にしているいま、研究されていない資料がまだまだ図書館にあるような気がします(ほんとうのところは、公共図書館の職員がそこまで専門的なニーズにこたえられなければならないか、議論が残るところではあります。ただ、ノウハウを交流しながら、どのような資料要求にもこたえていかなければならないというのは、館種をこえた図書館の責任であることは間違いありません)。
 公共図書館の司書は、今まで、「公共図書館員の専門性」をひたすら追求してきたような気がします。それはそれで大事ですが、加えて、自分の関心分野をいくつか持ち、日常業務に生かす工夫をしたり館全体の業務に反映させる時代がきたのかもしれません。私がIAML日本支部に入会しているのはそのような問題意識からですが、そういう意味ではもう少し公共図書館の職員が専門図書館の団体に参加していてもいいような気がします。縦割りの時代から横のつながりの時代へ。地道なつながりが利用者のニーズを満たす、インターネットのような図書館の連携ができればと思いはじめています。(大阪市立福島図書館)

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音楽教育機関図書館部会近況

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■ジュネーヴ会議(9月1日−5日)に向けて部会 Officer(座長、副座長、書記)の間で予備プログラム策案作業のやりとりがありました。会期中に2回のセッションがいつもの通り予定されています。
■9月1日:「蔵書と音楽教育機関のカリキュラム」と題し、ジュネーヴ音楽院とオーストラリアのシドニー音楽院、さらに交渉中のドイツから報告者が予定されています。ジュネーヴからはダルクローズ音楽教育の発祥地としてのレポートがテーマになる模様。
■9月2日:「図書館とコミュニティ」がテーマで、スイス(チューリヒ音楽院)、米国(ジュリアード音楽学校)、そして日本(桐朋)から、各国の表記テーマに関する短いスピーチを設け、それに続いてラウンド・テーブルを予定しています。
■2月中旬に確認した内容は上記の通りですが、その後、ジュネーヴ会議のホームページを見た北京中央音楽院から、会議出席の希望がもたられ、部会としてはぜひ、いずれかのセッション・レポーターに加えたいと座長が交渉を始めています。 (Y. T.)

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会計報告 TREASURER'S REPORT

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1997年度会費完納(除く海外在住者)に伴い、本部への会費送金が済みました。支部の義務を果たし、今後、9月ジュネーヴ会議や支部の活動に沿った会計報告が、増えることも願っています。 (Y.T.)

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事 務 局 よ り

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■今年度の支部総会は5月31日
1997年度のIAML日本支部総会は、5月31日(土曜日)の午後、日本近代音楽館(麻布台本館)で行われます。詳細はおって通知いたします。
■規約改正へ向けて
IAML日本支部は、これまで「個人会員」と「団体会員」の2種の会員で構成されてきましたが、今回新しく「名誉会員」を加えたい、という提案がありました。この提案を受けて、「規約の改正」案をみなさまにおはかり致します。改正案を今回のニューズレターに同封いたしました。内容をご検討のうえ、5月31日の総会にご出席ください。規約の改正は、総会の席で審議・決定されます。
■本部名簿へのクレーム
本部発行の会員名簿『List of Members』が発行され、全会員あてに発送されました。ところがその内容は、日本支部から最新の詳細なデータを送ったにもかかわらず、それが活かされないものになっています。日本支部事務局は、この件に関し、遺憾である旨本部に連絡、わかる限りで訂正箇所も連絡しました。なお、名簿がまだお手許に届いていない会員のかたがあるそうです。ここしばらくの間に到着しないようでしたら、事務局宛お知らせください。まとめて本部にクレームを送ります。

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PUBLICATIONS RECEIVED

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*『日本フルート協会 会報』No. 140(日本フルート協会より)
*『IMI NEWS』96/1-2 (Israel Music Information Centerより)
[寄贈いただいた上記資料は、日本近代音楽館内のIAML日本支部のロッカーに保管されています。]

(以上)